幼なじみの不器用な愛し方

「美月先輩ならって、先生も甘えちゃうんですよ、きっと」


谷瀬くんがそんなふうに言ってくれるので、そういうことにしておく。

体育祭の実行委員を一緒に務めた仲で、雑用を一緒にこなしてくれたこともあった。ありがたかったなぁ。


流れのまま、菊池達も一緒にお昼ご飯を食べることになった。

他の空手部員達は、部室でお弁当を食べているらしい。

メグちゃんと真由美ちゃんが向かい合わせに座っていたので、わたしはメグちゃんの隣に、真由美ちゃんの隣には菊池、谷瀬くんと座った。


珍しいメンバーではあるけれど、委員会を通じてしっかりと関係は構築されている。

会話はどこからともなく湧いて出て、尽きることはなかった。


わたしがオムライスの最後の一口を口に運んだとき、そういえば、とメグちゃんが思い出したように声を上げた。


「8月末の花火大会、みんなで行かない?」


突拍子のない提案に、みんなの視線がメグちゃんに集まる。

8月末の花火大会。それは、隣町の川沿いで行われる近隣では一番の夏のイベントだ。

彼女は目をキラキラさせて、言葉を続ける。


「夏だよ? 受験生でも、青春っぽいことしたいじゃん!」