その容姿や派手さから、当然女の子の注目を集める有斗。

幼なじみかつ姉弟のようなわたし達の関係は先生達も知るところで、要するにわたしは有斗の女避けのような立ち位置になっている。

やっかまれることも多少はあるけれど、わたしの存在はもはや校内公認のお守り役のようになっていて、今更何かを直接的に言われることはない。

わたしがいると女の子達は幾分大人しく、風邪で休んだ日には、無法地帯と化す。っていうのは、ツジを含む周りから聞いた話だ。

先生達が絶対にクラスを離してくれないのだ。


そしてそんな有斗と対等に話せる男子といえば、中学校から仲が良いツジくらいのもの。

人懐っこいツジ経由で他の男子とも話すことはあるようだけど、有斗の雰囲気に呑まれてしまって仲良くなるには至らないみたい。

そんなわけで、有斗とツジも必然的に一緒になる。


徒歩や自転車で通うわたし達とは違い、電車で通学している結子とは1年生の時に同じクラスになって仲良くなった。

絵に描いたような女の子である結子は、その可愛さゆえに一度、女の先輩とトラブルになったことがある。

何でも、先輩と付き合っていた人が結子のことを好きになって別れることになったとか。

そんなトラブルの仲介にわたしが入ることになり、うまく執り成せたことで先生の中でわたしの信頼度が急激にアップしたらしく……つまりは、第二のトラブル防止としてわたしが据えられることとなった。

かくして、わたし達4人は疑いなく同じクラスになれるのだ。


……って、なんかわたし、お守りばっかりしてない?



階段で2階に上がり、右に曲がってすぐにある教室が、わたし達が1年過ごすことになる場所だった。

「また出席番号1番だ」