にこやかに、しかし遠慮のない言葉が投げつけられる。


「ね、ねぇ結子。ただの幼なじみじゃないとして……それって、ドラマや漫画みたいな関係性なのかな……?」


結子の部屋の本棚には、去年実写映画が放映された少女漫画が並べられている。

薦められ、前にお邪魔した時に軽く読んだその本は、わたしにとって感情移入するようなものではなかった。

わたしの近くにいる男子といえば有斗とツジくらいのものだったし、そこには友情しかないと思っていたから。


「今更、家族愛だったりしない?なんて言うのは、さすがに有斗くんに対して酷だよ〜」


とどめの一撃。

すなわちそれは、愛とか恋とか、そういう情愛だと言っている。

開いたノートの上に突っ伏して、頭を抱えた。

30分前から取り組んでいるワークは、全然身が入らず進んでいない。


「……言い訳をするようだけど。有斗の気持ちがそうじゃなければいいな、とか、そんなこと思ってるわけじゃないんだよ。こんなふうに結子に答え合わせしてるのも、ほんとはずるいってわかってるの」