1年生の列の最後尾に、谷瀬くんの姿があった。
3年生のアンカーは、陸上部のエースと名高い男の子。
借り物競走でわたしを連れ出した、谷瀬くんの真意もよくわからない。
谷瀬くんに敵意を向ける有斗だけれど、さすがに順番を入れ替えたりはしないようでほっとする。
「あーあ、有斗、アンカー代わりたいだろうな〜」
隣から訳知り顔のツジが覗き込んできて、わたしは思わずきゅっと眉を寄せた。
「どういうこと?」
「いきなり直接対決出来るチャンスが目の前にあるんだもん。男としては勝負に出たいとこだろ〜」
「……何が言いたいの?」
怪訝な顔をするわたしに、ツジは僅かに眉を下げた。
「ほんとにわかんない?」
「え……」
「まぁ、幼なじみなんて立場に胡座をかいてたあいつもあいつだけどさ。いきなり現れて目の前で掻っ攫われたら、さすがの有斗も余裕ではいられないんじゃない?」
わたしがその言葉を拾う前にグラウンドでは入場が始まり、ツジの意識は無責任にそちらに投げられた。
幼なじみなんて立場に胡座をかいて──それは、当たり前に過ごしてきた幼なじみという立場以上に思うところがあるというニュアンスに聞こえた。
3年生のアンカーは、陸上部のエースと名高い男の子。
借り物競走でわたしを連れ出した、谷瀬くんの真意もよくわからない。
谷瀬くんに敵意を向ける有斗だけれど、さすがに順番を入れ替えたりはしないようでほっとする。
「あーあ、有斗、アンカー代わりたいだろうな〜」
隣から訳知り顔のツジが覗き込んできて、わたしは思わずきゅっと眉を寄せた。
「どういうこと?」
「いきなり直接対決出来るチャンスが目の前にあるんだもん。男としては勝負に出たいとこだろ〜」
「……何が言いたいの?」
怪訝な顔をするわたしに、ツジは僅かに眉を下げた。
「ほんとにわかんない?」
「え……」
「まぁ、幼なじみなんて立場に胡座をかいてたあいつもあいつだけどさ。いきなり現れて目の前で掻っ攫われたら、さすがの有斗も余裕ではいられないんじゃない?」
わたしがその言葉を拾う前にグラウンドでは入場が始まり、ツジの意識は無責任にそちらに投げられた。
幼なじみなんて立場に胡座をかいて──それは、当たり前に過ごしてきた幼なじみという立場以上に思うところがあるというニュアンスに聞こえた。



