幼なじみの不器用な愛し方

知らない。

幼なじみの、こんな──焦燥感に満ちたような顔。


「離さねーよ。おまえの1番近くにいたのはいつだって俺だろーが」


どくんと大きな音を立てて、心臓が跳ねた。

何か言いたいのに何も言葉が出てこなくて、わたしは必死に酸素を吸い込む。


有斗はまたわしわしと頭をかいて立ち上がり、わたしを置いて行ってしまった。




「どうしたの、みーちゃん。上の空だね?」

「へっ……?」


体育祭のお昼休み。

教室に戻りお弁当を食べていると、結子が心配そうにわたしの顔を覗き込んできた。


「な、何でもない。大丈夫だよ」

「そう?」


会話を交わすわたし達の周りには、ツジと有斗の姿がある。

結子に心配をかけたのは、ついさっきの出来事があったからに他ならないんだけど……当の本人は、何事もなかったかのようにお弁当を食べていた。


さっきの、どういう意味なんだろう……。

振り払っては蘇るそんな疑問に頭を支配されているうちにお昼休みは終わり、体育祭が進行していく。


「あっ、有斗くん出てきた」