幼なじみの不器用な愛し方

「どしたの、ほんとに。こんなとこ、誰かに見られたらどうする──」

「別にいい。関係ない」


有斗の長い指が、手の甲を這ってわたしの指を絡めとる。

思わず肩が跳ねたところに、突っ伏した体勢のまま視線だけをこちらに投げてきた。──揺るぎない、まっすぐな視線を。


「か、関係ないって……人気商売でしょ……!?」

「別に俺、人気が欲しくて仕事してるわけじゃねーし」


知ってる。だからこそ不思議だった。

有斗がなぜ、スカウトを受けたのか。

気怠げにしながらも、仕事を続けているのか。


「便利な道具のはずだったんだけどなー」

「え……?」

「なぁ、美月。俺の今がなんのためにあると思ってんの?」


──そんなの、知らない。

有斗の問いの答えも、視線に込められた炎の正体も。


有斗の指が、弄ぶようにわたしの指を操る。

わたしはそれを振り解けずにいる。


「有斗、離して……」

「やだよ。……ふざけんなよ、あいつ。あんな宣戦布告あるかよ」

「な、何言ってんの……」