幼なじみの不器用な愛し方

わたしは呆気にとられて、それから、込み上げたように笑ってしまった。


「びっくりした。そんなの、当たり前じゃん。こちらこそ仲良くしてね」


わたしが言うと、谷瀬くんはほっとしたように頬を緩めた。




お題として駆り出された人も、出場者と一緒になって門から退場する。

うちのクラスから出場していた山田さんと一緒に門を潜った時、体育倉庫の陰に人影が見えた。

グラウンドに響くアナウンスでは、今からお昼休みに入ると案内がある。


「ごめん、わたし先にお手洗い行ってくる。先に戻ってて」

「はーい」


山田さんと別れて、わたしは視線の元を辿る。

お弁当をとりに校舎へと戻っていく人の波の逆を行き、わたしは小さく息を吐いた。


「こんなとこで何してんのよ」


体育倉庫の陰で、座り込んでいたのは有斗だ。

こちらを見る表情は、お世辞にも穏やかとは言えない。


「有斗がそんな顔してたら、みんなびっくりしちゃうよ」

「わかってるし。……だからこんなところにいるんだろ」


セットされた髪を、有斗は乱雑にかき乱す。

有斗がここまで感情を露わにするのは珍しい。