幼なじみの不器用な愛し方

有斗の低い声が響いたのと同時に、谷瀬くんがわたしの前に立つ。


「美月先輩! 一緒に来てください!」

「え……えぇっ!?」


予想外の展開に、わたしは間抜けな声で応えてしまう。

谷瀬くん、どんなお題を引いたの!?


「でも、わたしがいなくなったら、救護班誰もいなくなっちゃうし……」

「もうすぐ次の当番の子来るだろうし、行っても大丈夫よ」


にっこりと笑って応えたのは先生だ。

ぜ、前言撤回! この先生、面白がってる……!


「許可もらいましたし、お願いします」

「あ……うん」

「ちょ、待て──」


谷瀬くんがわたしの手を引いて、救護所から連れ出した。

太陽の光に晒され、喧騒が鼓膜を打ち鳴らす。


『空手部期待のルーキー、ゴール! お題は何なのでしょうか!?』

「ちょ……メグ先輩、面白がってません!?」


お題が書かれたメモを係に手渡しながら、谷瀬くんが困ったように笑う。

わたしはわけがわからないまま、その様子を見ていた。


『お題は……“気になるあの人”です!』

「!?」


マイク越しにお題が明かされ、グラウンド中がざわめきに包まれた。