「席戻りなよ。関係ない人は立ち入り禁止」

「関係なくねーし」


不機嫌にそう言って、有斗は席を立とうとしない。

お、俺様にも程がある……!


そうこうしているうちに生徒達が入場してきて、借り物競走が始まった。

アナウンスのメグちゃんと真由美ちゃんの声は、とても楽しそうだ。


『2年4組、ゴール! お題はなんでしょうか〜!?』

『“可愛い後輩”です! 連れてこられたのは1年生なので、お題クリアでーす!』


準備係の子が、ノリノリでジャッジしている。

ベタなものからハードルの高いものまでお題はあって、ギャラリーの熱は高まっていた。


「……あ」


前のグループが終わり、次のグループには谷瀬くんの姿があった。

他にも、うちのクラスから出ている山田さんもいる。

グラウンドにピストルの音が鳴り響き、みんながそれぞれのお題箱に手を入れた。

山田さんはお題を確認するなり、先生達の席へと駆けていく。

谷瀬くんはといえば……お題を手に天を仰いで、めちゃくちゃ困った顔をして、それから、


「……え?」


何かを決意したような顔で、こちらに向かってきた。


「は?」