人だかりを形成しているのは女の子達で、それだけで理由がわかる。


「……」


陽の当たらないテントの下で、気怠げにツジと話す幼なじみが見えた。

有斗も元はスポーツ少年。体操服も似合ってしまうのだ。


有斗って、何出るんだっけ……?

首を傾げつつ、わたしは始まった騎馬戦をぼんやり眺めていた。




「当番、まだ終わってないのにすみません。お先に失礼します」


当番の終盤、谷瀬くんが申し訳なさそうに席を立つ。

この後は彼が出る借り物競走で、わたし達の当番は借り物競走が終わるまでだ。


「問題ないよ、任せて! 借り物競走、頑張ってね」

「んん、前の先輩達の反応を思うと怖いですけど。頑張ってきます!」


先生にも声をかけ、谷瀬くんは救護所のテントを出ていく。


「爽やかね〜彼。実家の大型犬思い出すわ」

「先生も思います?」

「てことは、秋山さんも思うのね?」


先生と笑い合っていると、テントに人影が現れた。

あら、と先生が振り返ったのと同時に、ついさっきまで谷瀬くんが座っていた席に誰かがどさっと腰を下ろす。