「そうなんですよー。この前、班でくじ引きして決まったんです」


先輩の登場に声を弾ませるのは谷瀬くんだ。

当日、わたし達は開会式の後すぐの救護係の担当になっている。


「悠馬さんは、なんかめちゃくちゃ忙しそうですね?」

「そーなんだよー……」


疲弊の色を浮かべて肩を落とした菊池は、競技の準備片付けをする班だ。

副委員長なこともありそのまま班をまとめる役割を担っているみたいなんだけど、全体の中で一番人数が多い班なこともあって、大変みたいだ。

役割分担するにしたって、救護係の倍はいるもんなぁ……。


「当日も忙しいの?」

「うーん、俺が担当する競技が細々したもの必要なのだから、その辺は面倒かな。あと、審査員もしねーとだし」

「細々……審査員……?」


前までやってきた菊池が持つプリントを覗き込む。

菊池の担当は、棒引きと玉入れと、


「借り物競走か〜」


うちの体育祭の目玉の一つ、借り物競走。

去年、準備係だったわたしは、菊池達と一緒にお題が書かれた札を必死に作った覚えがある。