「さっき斉藤先生に会って、美月先輩に伝言頼まれたんです! 

連絡しようにも、おれ、美月先輩の連絡先知らないし。悠馬さんに聞くよりも、教室行っちゃった方が早いなーって」


斉藤先生とは、実行委員会の顧問の先生だ。

学年も違うのに、なんで谷瀬くんに伝言を……と思わないでもないけど、彼を見かけてつい頼んでしまう気持ちは、少しだけわかる。


「今日、放課後集まるじゃないですか。それより先に、訪ねてきてほしいって」

「……わかった」


斉藤先生がそんな風に言う時は、大抵面倒な仕事を任せてくるんだよなぁ、という言葉は飲み込む。

去年は、体育祭直前に大量のパンフレットのホッチキス留めを頼まれたっけ……。


「何か手伝えることあったら、おれ何でもしますんで言ってくださいね!」


じゃあ、また放課後に。

そう言って、谷瀬くんは颯爽と去って行った。

めんどくさいって、そんなに顔に出てたかなぁ……。

自分の頬をむにっと押し上げて、反省する。わたしは上級生で、更には委員長!