ガラじゃないと思いつつ、有斗にも珍しいことはあるもんだなーと思ってたんだけど……。


「……いらねーなら、俺が枕にするけど」

「い、いらないなんてことない」


おずおずと手を伸ばし、袋を受け取る。

中を見ると、そこにはやっぱりクラゲがいる。

思いがけないプレゼントを、わたしは両手に抱き締めた。


「ありがと、すっごく嬉しい。大事にするね」


わたしが言うと、有斗はきゅっと難しい顔をして、それからわたしの頭にぽんっと手を置いた。


「おやすみ。ゆっくり休めよ」

「うん。有斗もね」

「明日の朝も起こしてくれな」

「それは自分で起きて」


今度こそ別れ、それぞれの自宅へ帰る。

その夜、わたしはクラゲのぬいぐるみを抱いて眠りについた。




有斗のインスタのアカウントが開設されたのは、週明けすぐのことだった。

有斗から直接聞いたのではなく、周囲がざわついていたことで知ったのだけど。


「へぇ、遂にインスタ始めたんだ」

「あはは、有斗くんらしい文章だねぇ」

「なになに、……。【はじめるよ】って、確かに有斗っぽいわ」