幼なじみの不器用な愛し方

「あのなぁ。俺、一応ギャラ貰って仕事してんの。金の管理は母さんがしてるけど、二人分のチケットくらい、手元の金で余裕で買える」


だから余計なこと気にすんな、と有斗は言う。


「おまえは今日、全力で楽しむことだけ考えてればいいから。アトラクションも乗れるチケット買ったし、夜まで遊び尽くすぞ」


長い指がわたしの手を捕えた。

わたしは呆気にとられて、ただ引かれるままに園内に繰り出す。


そういえば……有斗とこんな風に二人で出掛けるの、久しぶりな気がするなぁ……。

モデルをしている有斗は、顔もさることながらスタイルもいい。それはわかっている。

でも、前を歩く背中は、わたしが思っていたよりも随分広く見えて。


「…………」


ずっと傍にいるから気付かないけど、こうやって改めて見ると……ちゃんと大人の男の人になってるんだなぁ。

欲を言えば中身もしっかり大人になってほしいところではあるけれど、有斗の傍若無人ぶりが今更直るとも思わないので飲み込んだ。




そういえば、と有斗が徐にスマートフォンを取り出したのは、視界いっぱいに青が広がる、トンネル水槽でのことだった。