幼なじみの不器用な愛し方

敷地内には水族館だけでなくアトラクションなんかもあって、実は密かに来たいと思っていた場所だった。


「えっ……なんで、わたし、言ったっけ……!?」


入場の列に並びながら、有斗の裾を引く。

すると有斗は少しだけ振り返って、わたしを見下ろす。


「インスタで見てたの、見えてた。LIMEの背景も水槽だし、行きてーのかなって」


言葉少なに答えて、有斗は二人分の入場手続きを済ませてくれる。

思いがけない言葉に、わたしは有斗の背中を追うことで精一杯だ。

わたしが行きたいと思っていることに気付いて、連れてきてくれたの……?


「チ、チケット代……」

「……よりによって、第一声がそれかよ」


げんなりした表情を浮かべて、有斗がわたしのおでこを軽く小突く。


「いらねー」

「え、でも」