幼なじみの不器用な愛し方

「もーちょい女っぽい服も似合う」


手にしていたブラウスをクローゼットへ返却しながら、有斗が何気ないテンションで言う。

有斗の口から出たとは思えない言葉にわたしは反応が遅れて、結局流れた。


「お、これいいじゃん。今日の服、これな。靴はスニーカー合わせて」


クローゼットの中から選ばれたのは、ジーンズ生地のワンピースだ。

袖部分がバルーンみたいになっていて、わたしの手持ちの中ではオンナノコらしい服。


「じゃ、俺リビングで俊哉くんと喋ってるから。美月が準備できたら出発な」


俊哉くんとは、わたしのお父さんのことだ。昔は美月パパって呼んでたのに、いつからかお父さんのことを俊哉くんと呼ぶようになっていた。

わたしの返事を待つことなく、有斗は部屋を出ていってしまう。

部屋に残されたわたしは起き上がるほかなくなって、ぶつぶつ文句を言いながらもベッドから這い出た。




行き先を告げられないまま家を出て、道中で訊ねてもはぐらかされ、途中から諦めて有斗の後ろをついていった先は、近郊では最大の水族館だった。