「早くない!?」


足元に蹴り飛ばされていたタオルケットを引き上げて、頭から被る。

せっかくの休み。まだ寝ていたかったよぅ!


「クローゼット開けるぞ」


わたしの抗議など意に介さず、断りを入れてからクローゼットが開けられる音がする。

さっきちらっと見た姿に間違いがなければ、有斗は既に髪のセットまで終え、準備万端だった。

朝激弱のくせに、何時に起きたのやら。


「……わかってたけど、おまえの服、シンプルなのばっかだな」


なぁに、と潜った布団の中から外を窺うと、有斗はクローゼットからいくつかの服を取り出して、真剣な表情をしている。

……っていうか。ふつう、女の子のクローゼットなんて遠慮して開けないよね?

と、思ったけれど、わたしが気付いたのも今更なので、わたしもふつうではないのでしょう。


「シンプルが好きなの。フリフリとか着ないもーん」

「それは知ってる。し、おまえはシンプルが似合う」


けど。と有斗がすぐに逆接をくっつける。