首を傾げたわたしの手元で、スマホが短くなる。


『動画。送ったから後で見ろよ』


じゃあな、と一方的な物言いで切られた電話。

な……なんだったんだ。

不思議に思いつつ、有斗から送られてきた動画を開く。


「わ……!」


届いた動画に映っていたのは、夕日が沈みゆく海だった。

打ち寄せる波に光がキラキラして、水平線がどこまでも続いている。


「き、綺麗……」


空の青さと夕日のオレンジが重なって、とても幻想的な動画。

5分ほど続いた動画は、日没までがおさめられていた。


「これ、見せようとしてくれてたんだ」


音声が入っているわけじゃない。ただ、ひたすら綺麗な夕日の動画。

自然と口角が持ち上がっていることに気付いて、はっとする。

遠く離れたところにいても、綺麗な景色を見てわたしに共有してくれたその気持ちが嬉しくて。


「……明日は、有斗の好きなハンバーグ作ってあげてもいいかな」