それも、多忙な有斗の両親に代わって、身の回りのことをするようになったわたしの特権……なのかもしれない。その特別さに心を躍らせたりはしないけれど。

うちの両親も忙しい人達で、学校が終わればどっちかの家に一緒に帰って親の帰宅を待つことが当たり前。わたし達は物心ついた時からキョウダイみたいに同じ時間を過ごしてきた。


こんな風に、これからもわたし達2人、仲良く幼なじみとしてやっていくんだと思う。



「遅せぇよ」


……前言撤回。


「有斗にだけは言われたくない!」


玄関を出ると、外壁に凭れて有斗がわたしを待っていた。

開口一番に言われた言葉に、わたしはついつい噛み付いてしまう。

有斗の性格が横暴な俺様なのは昔からで、わたしのオカン気質も直らない。