幼なじみの不器用な愛し方

しゃがんだ有斗によって、わたしもキッチンにしゃがみ込まされる。

カウンターキッチンの向こう側にあるダイニングテーブルからは死角になっていて、わたし達の姿は見えないはずだ。

幼少期の話題で盛り上がっていて、今現在のわたし達のことはすっかり忘れ去られている。


「ある……」

「しっ」


有斗のしなやかな指がわたしの唇に触れて、口を噤む。

色っぽい瞳に捉えられたと思った瞬間、反対側の手で後頭部を引き寄せられた。


「……っ!?」


すぐそこにみんながいるのに……!

唇から伝わる感覚はじわりと熱く、有斗の綺麗な髪がさらりと目の前で流れる。


焦りと甘さでその場にぺたりと座り込んだ瞬間、その肩に額がこてんと乗せられた。


「卒業祝いのプレゼント、実は指輪だけじゃなくてもう一つあるんだ」

「えっ……」


まだ何かあるの?

頭上にハテナを浮かべたわたしの目を、有斗が捉えた。


「京都へ、2泊3日の卒業旅行」


──まるで、遠足を楽しみにする子どもみたいな輝きと、獲物を渇望するような揺らぎを宿して。


恋人同士でお泊まり、そこに含まれる意味がわからないほど子どもじゃない。

至近距離で見つめられて、わたしは耳までを真っ赤に染め上げた。