幼なじみの不器用な愛し方

「でも、こんな高価なもの……」

「いいじゃん。今まで散々俺の世話させられてきたんだから、貰っとけば」


鯛のカルパッチョを口に放り込みながら、有斗がしれっとそんなことを言う。


「お世話されてた人の台詞じゃないよ、それ」

「それもそーか」


気のない返事をしたかと思えば、席を立ってリビングを出ていった有斗。

お手洗いにでも行っていたのかと思いきや、戻ってきた有斗の手には、小さな紙袋が提げられていた。

その紙袋には見覚えがあった。誕生日にくれたネックレスと同じジュエリーブランドのものだ。

有斗離席中も楽しく歓談していた親達の視線も、有斗の手元に集まる。


「これは俺から。卒業祝いと入学祝い。ついでに、世話してくれたお礼も乗せとこーかな」

「えっ……」

「有斗も用意してたの!? 我が息子ながらやるじゃーん!」

「そのブランド、若い子に人気のとこだよね!?」


黄色い声を上げるのは主に母達で、わたしはやっぱり目を丸くするしかない。


「わたし、何も用意してないよ」

「いらねーよ。俺も貰ったらお礼になんねーじゃん」


再び、半ば強制的に袋がわたしの手元にやってきた。