わたしの呟きを、容赦なく切り捨てた。
それからメモを持ち上げて、斜めから見てみたり、照明にかざしてみたりする。
そうしているうちに、有斗の綺麗に整えられた眉がぴくりと動いた。
「……あれ?」
訝しげな顔をしつつ、有斗がメモに顔を近づけた。
正確には鼻に近づけ、すんすんと音を鳴らして嗅いでいる。
「どうしたの? 何か匂う?」
「……うん。ちょっとだけだけど、香水の残り香みたいな匂いが移ってる」
わたしも鼻を近づけてみると、確かに、フルーティーで甘い香りがわずかに鼻腔を撫でた。
「ほんとだ! ちょっとだけだけど、大きな手掛かりになりそうだね」
一筋の光が差した。そんな思いでぱっと表情を明るくしたわたしとは対照に、有斗は何かを考え込んでいる様子で、眉間には深い皺が寄っている。
どうしたんだろう……。
首を傾げて様子を伺うわたしに、有斗は少し迷いを見せてから口を開いた。
「……靴箱にカメラを設置しよう。もう手配はしてるから、芳香剤とかに擬態してすぐにでも」
「えっ」
カメラの設置は極力避けたいと前に話していた。
手掛かりを得た段階でまさかそんな提案があるとは思わず、わたしは素っ頓狂な声をあげてしまった。
しかし、有斗の面持ちは真剣なままだ。
それからメモを持ち上げて、斜めから見てみたり、照明にかざしてみたりする。
そうしているうちに、有斗の綺麗に整えられた眉がぴくりと動いた。
「……あれ?」
訝しげな顔をしつつ、有斗がメモに顔を近づけた。
正確には鼻に近づけ、すんすんと音を鳴らして嗅いでいる。
「どうしたの? 何か匂う?」
「……うん。ちょっとだけだけど、香水の残り香みたいな匂いが移ってる」
わたしも鼻を近づけてみると、確かに、フルーティーで甘い香りがわずかに鼻腔を撫でた。
「ほんとだ! ちょっとだけだけど、大きな手掛かりになりそうだね」
一筋の光が差した。そんな思いでぱっと表情を明るくしたわたしとは対照に、有斗は何かを考え込んでいる様子で、眉間には深い皺が寄っている。
どうしたんだろう……。
首を傾げて様子を伺うわたしに、有斗は少し迷いを見せてから口を開いた。
「……靴箱にカメラを設置しよう。もう手配はしてるから、芳香剤とかに擬態してすぐにでも」
「えっ」
カメラの設置は極力避けたいと前に話していた。
手掛かりを得た段階でまさかそんな提案があるとは思わず、わたしは素っ頓狂な声をあげてしまった。
しかし、有斗の面持ちは真剣なままだ。



