「美月のローファーに土を入れられたの、共テ明けの月曜だったろ? これまでの嫌がらせよりも過激になったタイミングと、どうも無関係とは思えなくて」

「……つまり、どういうこと?」

「何の確証もない推理だけどな。

犯人は受験生で、この前の共テの出来があんまりよくなかった。その直後、久しぶりに登校した俺が、美月と一緒にいると噂になっていたら──ストッパーが壊れてもおかしくないと思わねぇ?」


眉間に深い皺を刻みながら、有斗がたまご焼きを頬張る。

有斗の推理は推測の域を出ないけれど、確かに筋は通っていた。


「受験生のこんな大事な時期に、嫌がらせするのに時間を使うだなんて考えたくないけど」

「だよな。とんでもないやつだと思ってるけど、後輩だったほうがまだいくらか救いがあるわ」




事態が動いたのは、翌週のことだった。

その日は朝から小雪がちらついていて、仕事が入っている有斗は登校しなかった。

わたしはいつも通り自習をして、放課後。

有斗の靴箱からローファーを取り出して履き替えた後、自分の靴箱の様子を見たところ、乱雑に破り取られたメモが入っていたのだ。