いつ嫌がらせされているかがわからない以上、ずっと張り込むのは現実的ではなく、わたしは頭を悩ませた。

しかし、有斗は違った。


「少し様子を見て、手掛かりが掴めなかったらカメラ仕込もう。美月の靴箱の高さ的に平均身長の女子だったら目につきそうだし、極力使いたくない手ではあるけど」


そう言ってギラリと瞳の奥を光らせた有斗の本気度が窺い知れた。




思いがけない有斗の登校に学校中が湧き立つと思いきや、色めき立ったのは下級生だけだった。


「そりゃそうだよね。3年生は有斗どころじゃないだろうし」

「まぁ、俺が来てることは耳には入るだろうし、種は全体に撒けてるだろ」

「相手が何年生かも検討つかないしねー……」


お昼ご飯を食べながら、人気のない教室で作戦会議。

勉強してる子の邪魔にならないようにと、有斗が抜かりなく周囲に知らしめたおかげで、すんなり教室を出てこられた。


「俺は3年の仕業だと睨んでるけど」

「えっ……!? どうして?」


思いがけない台詞に思わず面食らう。

だって、これまでのメモの内容に、相手の素性を伺える内容はなかったはずだ。