わたしとの喧嘩中、有斗との距離を詰めようとした女の子達が1人や2人じゃなかったからってのもあるんだろうけど。


「このメモ、俺が預かってもいい?」

「えっ……」

「一言ずつしか書かれてねーし手掛かりを見つけるのは難しそうだけど……何かわかることがないか、見てみる」


それに、こんなに悪意に満ちたものを美月の手元に置いておきたくない。そう言った有斗の表情には、ありありと怒りが滲んでいた。

本当は、こんなことをするような子が書いたメモを、その子が好きな有斗の元に置いておくのも嫌なんだけど……。


「わかった。お願いします」


ここは素直に任せよう。

わたしが言うと、有斗は表情を和らげてわたしの頭をまた撫でた。




有斗はすぐに近藤さんに頼み込んでスケジュールを調整してもらい、可能な限り登校することになった。

口に出さないけれど、わたしを守るため、そして、犯人を見つけるためだ。

靴箱は有斗のところを一緒に使わせてもらい(靴の裏を合わせて詰め込んだ)、有斗が洗ってくれたローファーの他に、ダミーの古いローファーをわたしの靴箱に入れた。