それは、有斗との間に距離が空いたタイミングで、嘲笑うかのように届けられたメモだった。


「……ごめんな」


有斗の手がそっと伸びてきて、わたしの体を引き寄せた。

わたしの肩に顔を埋めて、有斗が悔しそうに呟く。


「どうして有斗が謝るの」

「俺が原因でおまえに迷惑かけてる。それに……おまえの態度で、気付けたタイミングはいくらでもあったはずなのに」


有斗の腕の中で、わたしは首を振る。


「わたしが対処できる問題だと、わたしが思ったの。だから有斗には言わなかったの。これまでは、実害は特になかったし」


努めて明るく言ったわたしの後頭部がぽんぽんと撫でられる。


「美月のそういう気丈なところも好きだけどさ。人から悪意を向けられるって、少なからず傷つくじゃん。たとえ小さい傷でも、美月のだったら俺は無視したくねーんだよ」

「……っ」


慈しむような言葉が、わたしの心に溶けて心地よく沁みた。

意思とは裏腹に、目の奥から涙が溢れてくる。


「なんてことないって思ってたのは、ほんとだよ。あんたは無駄にモテるから、昔から僻まれるのは慣れてるし」