「3学期はほんとに受験モードが濃くなったよね。今だって割と静かだし」


言いつつ教室を見渡す。

登校していない子も一定数はいるので、穴ぼこに埋まった机。


……あ。

その中にある真由美ちゃんの姿に目が留まる。

今までだったら、お昼休みには教室を出ていたのに。

本当にラストスパートなんだなぁ……。


真由美ちゃんだけじゃない。

今までだったらお昼を食べる時には席移動していたところ、自分の席で単語帳や参考書と睨めっこしている人の姿も目立つ。

廊下に出たって人影はあんまりなくて、みんな教室にこもって勉強をしている。


「終わったらぱーっと遊ぼうね、みーちゃん」


唯子の言葉に、わたしは力強く頷いた。




共通テスト2日目が行われていた日曜日の夜、有斗が早めに帰宅するとのことで、神崎家の面々がうちに集まって一緒に食卓を囲んだ。

多忙ゆえに集まる回数は多くないけれど、両親同士はとても仲が良く、お酒も入るとなれば大いに盛り上がる。

お酒が進むと楽しくなる人達なので、途中からの雑炊の準備や片付けはわたしと有斗で担うことも多々あって、今回も例外ではなかった。