幼なじみの不器用な愛し方

昨日扉越しに聞いた声よりも遥かに甘く、艶っぽく耳に響いた。


[今日起きて、やっぱ夢だったんじゃねーかって何回も思った。美月から連絡来て、今、自分でもよくわかんねーまま電話かけてて]


スピーカー越しに、有斗の緊張が伝わってくる。

わたしだけじゃないんだ。有斗だって、おんなじ気持ちなんだ。


「……会いに行っても、いい?」


言葉にしたときには、もう立ち上がっていた。わたしが行く。有斗のところに、わたしから。

電話の向こうで有斗が「うん」と答える頃には、既にサンダルを履いていた。

逸る気持ちでうちの玄関を施錠して、神崎家の玄関を開ける。


「──美月」


玄関を開けると有斗が階段を降りてきたところで、その澄んだ瞳がわたしの姿を映し出した。

有斗だ。そう思った瞬間、大きな温もりに包まれた。

有斗が着ているトレーナーが視界を満たす。シャワーを浴びたところだったのか、せっけんの爽やかな匂いがふわりと香った。


「美月」

「うん」

「夢じゃなかったんだな」

「夢でも幻でもないよ」