有斗への恋心を自覚したつもりで、それが単なる独占欲だったらどうしようって。

わたしに気持ちを向けてくれる人だったら誰にでもそう思う、そんなめちゃくちゃな感情だったらどうしようって。


でも……この光景を見てもわたしの気持ちは揺れなくて、自分の恋心が勘違いじゃないことを思い知る。

やっぱり……わたしにとっては、有斗だけが特別なんだ。


ようやく答えが出たんだから、有斗のためにも、谷瀬くんのためにも……早く、勇気を出さなきゃいけないね。




日中と言えど、11月下旬の屋上に他の生徒の姿はなかった。


「珍しいですね、美月先輩からの呼び出しなんて」


わずかに首を傾げて、谷瀬くんがわたしの顔を覗き込む。

お昼休みに屋上に来てほしいとメールしたのは1時間目の授業が終わってからのことで、谷瀬くんは理由も聞かずに来てくれた。


「来てくれてありがとう。谷瀬くんに……どうしても、言わなきゃいけないことがあって」


情けない。声が震える。

心を決めたつもりでいたのに、今から谷瀬くんを傷つけると思うと潰れちゃいそうなくらい胸が痛いよ。