水分もちゃんと摂って。

寒くなってきたからちゃんとあったかくして寝るんだよ。

それから、それから──


「あの時……有斗の気持ちを少しも考えられなくてごめんなさい。愛想尽かされて当然だと思う。本当にごめん」


ずっと謝りたかったの。とそこまで言うので精一杯で、押し寄せる感情の波に足元をさらわれそうになる。

言わなきゃいけないと思っていたことは伝えられた。今はこれ以上は無理だ。

その場を去ろうと、何とか立ち上がった時──


「泣くなよ」


開けないでと懇願した扉が開いた。

火照った顔で、眉間に皺を寄せた有斗が目の前に立っている。


「な……なんで開けるの……っ」

「なんでって、なんで開けちゃだめなんだよ」

「開けないでって言ったじゃん!」

「おまえが泣いてるのわかってるのに、開けないわけにはいかねーだろ」


真っ赤な顔で、しんどいはずなのに、どうしてそんなことを言うの。

あれだけ鈍かった心が、ドラムのように打ち鳴らされてしまう。


「って……泣かせたのは俺か」

「ち、違う! 有斗は何も悪くないっ」