幼なじみの不器用な愛し方

花火大会の時、有斗は珍しく楽しそうに会話をしていた。


「痛……ッ」


突き刺すような痛みを覚えて、わたしは胸を押さえてその場にしゃがみ込んだ。

何これ。苦しい。息が上手くできない。

息を吸おうとすればするだけ、肺が収縮するような感覚。

気付かないうちに流れ出ていた涙が、ぼたぼたとスカートを濡らした。


『わたしの場合は、嫉妬したときかなぁ』


ふと、結子の声が頭の中に響いた。


『ある時、つっくんが知らない子と仲良く話してるのを見て、すーっごくモヤモヤしたんだよねぇ。それで、あーわたし、やきもち妬いてる。好きなんだなぁ〜って思って』


胸を貫く痛みの意味を、結子の言葉がわたしに突きつける。

あの言葉の意味を、痛みをもって理解する。

──わたしは有斗のことが好きなのだと。


ねぇ……有斗もこんな気持ちだった?

こんなに強烈な痛みを、わたしはあなたに与えた?

だから──わたしのことが嫌になって、そんなふうに別な人の名前を呼ぶの……?


「……美月?」


不意に部屋の中から有斗の声がして、わたしは右手で口元を押さえた。