幼なじみの不器用な愛し方

ピーラーを使って皮を剥いて慣れない包丁で芯をとったりんごは、お世辞にも綺麗な形ではなかったけれど、わたしのために頑張ってくれたことがとっても嬉しかった。


ずっと一緒にいたんだ。

考えるよりも先に思い出が蘇ってくるくらい。

隣にいないと、ぽっかりと穴が空いたような気分になってしまうくらい。


「……っ」


まるでそんな時間が存在しなかったみたいに振る舞われるの、悲しいよ。

朝弱いくせに、1人で学校に行くために頑張って起きられるようになったなんて嫌だよ。

大学に受かったのだって、噂で知るんじゃなくて本人の口から聞きたかった。

有斗が出ているドラマ、一緒に見た1話以降は見てないの。有斗が、遠い存在になったみたいに感じたから。


色んな思いが湯水のように溢れてきて、もう、だめだった。


勢いのままにキッチンを出て、階段を駆け上がる。

謝らなくちゃ。不誠実なことをしてごめんって。傷つけてごめんって。

これを恋と言うかはわからないけれど、わたし、有斗が隣にいないのは嫌だよ。