そもそも有斗は、女の子に限らず、気を許した人としかほとんど話さない。

有斗に近付く女の子達は今も昔もいるけれど、面倒くさそうに生返事をしたり、そもそもスルーしたりしていたので、嫉妬心どころか、若干相手の子に対して不憫に思ったりもしていたっけ。


有斗が他の女の子と楽しそうにしていた光景。

心当たりがあるとすれば……花火大会の日、それぞれ屋台に行った時、菊池とメグちゃんと戻ってきた時くらいかな。

あの時は、珍しいこともあるんだなぁって、それしか思わなかったけど……。

それはつまり、わたしは有斗に対して幼なじみ以上の感情を持てないってこと……なのかなぁ……。




お昼ご飯を食べ終え、結子と一緒に少し早めに教室に戻ると、廊下に見知った姿を見つけた。

先にわたし達に気付いたのは、こちら側を向いていた各地で、彼の声掛けによってもう一つのシルエットが振り返る。


「おかえりなさい、美月先輩」


相変わらず太陽のような笑顔でわたし達を出迎えたのは谷瀬くんだった。

尻尾があったらぶんぶんと振られていそうな光景に、思わずわたしも結子も笑ってしまう。