なるほど……。

偉大な先生に教えを乞う生徒の気持ちで結子の話を聞いた。


「わたしにとっては2人とも大事なお友達だから、あえて厳しいことを言うね。

2人の関係性で、みーちゃんが有斗くんに嫉妬しないなら、みーちゃんが有斗くんのことを好きになる可能性は限りなく低いと思うんだよねぇ」

「それ、は……」

「もちろん、幼なじみの延長でお付き合いする形もあると思うけど……有斗くんはそれを望まないでしょう?」


結子の言うとおりだ。有斗はそれを望んでいなかった。


「みーちゃんが有斗くんを特別に見られないなら、有斗くんのためにも、はっきりと、恋愛感情は持てませんって言ってあげてほしいなぁ」

「……っ」

「じゃなきゃ、有斗くん、ずっと前に進めない」


口に入れたきんぴらの味が、一気にしなくなった。

いつもよりずっと落ち着いた声に、わたしは圧倒されて、頷くことで精一杯だった。

ただ、その後に落ちた静寂と、窓ガラスを打ちつけ始めた雨音だけを全身で感じていた。




嫉妬……嫉妬かぁ。