少女漫画を参考にしてみたりしたけど、何というか、感情移入するより展開を追うことに夢中になってしまった。

現実とイコールで考えることができなかった。ぽんこつだ。

結子はぎいっと椅子を引いて、思考を巡らせるように天井を仰いだ。


「うーん……わたしの場合は、嫉妬したときかなぁ」

「嫉妬……?」

「うん、嫉妬。ある時、つっくんが知らない子と仲良く話してるのを見て、すーっごくモヤモヤしたんだよねぇ。それで、あーわたし、やきもち妬いてる。好きなんだなぁ〜って思って」


恥ずかしいね、と頬を緩めながら話す結子。

告白してくれたとき、谷瀬くんも似たようなこと言ってたなぁ……。

有斗だって、谷瀬くんや菊池に警戒心を抱いていたのは、嫉妬から来るものだったのだろう。


「感情の振れ幅って人それぞれだから、それがすべてじゃないと思うけどね。

一緒にいて楽しいとか落ち着くって感情よりも、やきもちみたいな気持ちの方が強烈で、だからこそ恋と友情がはっきりと分かれるんじゃないかなって思うよ」