直後は、やらかしてしまった自覚があったがために、有斗の拒絶を押し切る勇気が出なかった。

今は、謝りどころがわからなくなっている。


「わたし、みーちゃんと有斗くんがこのまま離れちゃうのは嫌だなぁ」


結子のさりげない呟きに、胸の奥の方がきゅっと痛んだ。


「……変な質問していい?」

「なぁに?」


口に放り込んだきんぴらを飲み込み、意を決して向かいに座る結子の目を見る。

結子は可愛い。女の子って要素をぎゅっと詰め込んだ愛らしさがある。

そんな結子が、ツジと付き合い始めたのは1年生が終わる頃だった。


「結子は、ツジのこと好きだって、いつ、どうやって気付いたの?」

「……へ?」


潜めるような声になったのは、たぶん、自分でも情けない質問をした自覚があったからだと思う。

あぁ、ほら。結子も目を丸くしてる。


「ずっと考えてるんだけど、未だにピンとこないし……そんなまま、有斗に謝るのもなんだか違うような気がして……」

「……みーちゃんって、わたしが思ってたより、ずーーーっと恋愛オンチなんだね……」

「自覚はあるから、そんな目で見ないでください……」