新年度が始まり、浮き足立つ空気もそのままに4月も下旬になった。


「有斗先輩来てる!」

「昨日は途中で早退してたみたいだもんね、会えてラッキー」


相変わらず、幼なじみは注目の的です。

……が、本人はやっぱり興味なさげ。


「……ちょっとは反応してあげたら? せっかく見に来てんのに」

「めんどくせー」


休み時間、教室の後ろに設置されたロッカーから次の教科の教科書と資料集を取り出しながら、机に顔を伏せる有斗に声をかけると、有斗は心底面倒臭そうな声で応えた。

学校でのこの愛想の悪さ……人気に支障出そうなものだけど、そのギャップもまたいいって言うんだから、よくわかんないなぁ……。


「有斗、今日は真っ直ぐ帰るんだっけ?」

「うん。今日は何もない」

「じゃあ、先帰っててね。ご飯はあんたんちの冷蔵庫にタッパーで入れてきたから」


あたしの言葉に、有斗が勢いよく顔を上げる。

「は? なんで?」とその怪訝そうな顔が言っていた。

この顔……さては、今朝言ったこと聞いてなかったな?