目に見えて肩を落とした横川くんに頭を下げ、わたしは教室を出た。

恋心に天秤があるのなら、わたしに向けられた想いは、それぞれ秤をどんなふうに傾けるのかな……。




周りに群がる女の子達を跳ね除けるまではしないまでも、にこやかに応対するでもなく、有斗はずっとピリピリしていた。

唯一ツジとだけは談笑している姿が見られたけれど、他の誰も寄せ付けないオーラがあった。

それを掻い潜って有斗に近付く女の子が周りを取り囲むけれど、やはり有斗は不機嫌なままその状況を放置していた。


一方で、谷瀬くんは驚くほどいつも通りだった。

彼が言っていた通り、告白を機にいきなり態度が変わることもなく、会えば話し、たまにメッセージのやり取りをしていた。

それが谷瀬くんのことを知る、ということになるのかはよくわからなかったけど、今のわたしにはその変わらなさがありがたかった。


月が変わりブラウス1枚では肌寒くなってきてからも、有斗の態度が軟化する様子はなかった。

その事実がわたしの首をギリギリと締め付け、いよいよ限界を感じ始めた頃。

前日にポストに投函されていた大学の合格通知を、改めて担任の先生に見せに行った放課後、靴箱の中に1枚のメモが置かれていた。