その夜も、いつも通り一緒にご飯を食べる予定だったけれど、有斗はわたしを置いて先に帰路につき、家を訪ねてくることもなかった。




翌日も、その次の日も、週が変わっても、有斗はわたしを避け続けた。

そんなわたし達の様子に、周囲もざわつき始める。


「ごめんね、美月ちゃん。神崎くんと喧嘩しちゃったの……わたしがあの時、考えなしに口走ったからだよね」


事態に気付いたメグちゃんが、眉を寄せて本当に申し訳なさそうにわたしに謝りに来たことがあった。

わたしはただ首を振って、メグちゃんのせいじゃないよと言った。

メグちゃんのせいじゃない。こんな状況に陥ったのは、有斗がわたしを拒むのは、全部ぜんぶ、わたしが悪い。




どうやらドラマ内で有斗の出演シーンが増えてきたらしい頃、周囲に変化が訪れた。


「有斗くん、昨日のドラマ見たよー!」

「どんどん核心に近付いてきた感じするね」

「主演の前田マサキもかっこいいけど、やっぱり有斗くんが一番かっこよく見えちゃうなぁ」


休み時間、自分の席で頬杖をつきながら、教室の後ろの方で湧き立つ黄色い声を聞く。