わたしにとって、隣にいるのが当たり前の幼なじみの有斗と、かわいい後輩の谷瀬くん。

だけど、その相関図は複雑に絡み合っていて、今、自分が置かれている状況をようやく理解した。


前から走ってきた車のヘッドライトが、わたしを眩しく照らしては颯爽と走り去っていく。

アスファルトに伸びる影をぼんやり眺めながら、溜め息を吐いた。


「やましいこと、ないつもりだったんだけどなぁ……」


随分前に、わたしに想いを伝えてくれていた有斗。

わたしは、有斗への答えもまだ出せていない。

谷瀬くんに対しても、答えは出ない。

2人ともわたしにとっては大切な人だけど、そもそも恋とはどういうものなのかがわからない。


「今日のこと……絶対、秘密にしなきゃな……」


告白のこと。靴箱に投函されるメモのこと。

今まではなんだって言えていたのに、言えないことばかりが増えていく。




次の日、少しの緊張と共に靴箱を開けたけれど、中には何も入っていなかった。