夕飯は家で食べることになっていたので、遅くなる前に解散予定だ。
もうそろそろ時間かな……と思ったところで、最後にと谷瀬くんが駅の中層階にあるテラスにわたしを誘った。
緑がそこかしこに植ったテラスは、あちこちに設置されたベンチに人影があった。
奥の方に空いているベンチを見つけ、そこに腰掛ける。
「今日はありがとうございました。久々のオフ、すげー楽しかったです」
「こちらこそ。わたしも、すごく楽しかった」
ビルの明かりと薔薇色に染まった空が、昼と夜の境界を曖昧にしてる。
ふと風が吹いて視線を流すと、谷瀬くんがこちらを見ていたことに気がついた。
「その楽しかったって言葉は……おれじゃなくても、もらえてましたか?」
「え……?」
言葉の意図がわからず、どきっと胸が大きく跳ねた。
谷瀬くんの瞳に、わずかな熱が揺れて見える。
あぁ──そうか、そうだったのか。
わたしはもう、この目を知っている。
「おれ、美月先輩がすきです」
真っ直ぐわたしを見据えて、余分な言葉で飾らないシンプルな想いが、風に乗って優しく鼓膜を震わせた。
もうそろそろ時間かな……と思ったところで、最後にと谷瀬くんが駅の中層階にあるテラスにわたしを誘った。
緑がそこかしこに植ったテラスは、あちこちに設置されたベンチに人影があった。
奥の方に空いているベンチを見つけ、そこに腰掛ける。
「今日はありがとうございました。久々のオフ、すげー楽しかったです」
「こちらこそ。わたしも、すごく楽しかった」
ビルの明かりと薔薇色に染まった空が、昼と夜の境界を曖昧にしてる。
ふと風が吹いて視線を流すと、谷瀬くんがこちらを見ていたことに気がついた。
「その楽しかったって言葉は……おれじゃなくても、もらえてましたか?」
「え……?」
言葉の意図がわからず、どきっと胸が大きく跳ねた。
谷瀬くんの瞳に、わずかな熱が揺れて見える。
あぁ──そうか、そうだったのか。
わたしはもう、この目を知っている。
「おれ、美月先輩がすきです」
真っ直ぐわたしを見据えて、余分な言葉で飾らないシンプルな想いが、風に乗って優しく鼓膜を震わせた。



