席に戻ってしばらくすると、頼んだダージリンティーが運ばれてきた。


「いやぁ、まさかアフタヌーンティー予約してくれてたなんて……。谷瀬くん、スイーツとか詳しいんだね」

「いえ、おれはそんなに。……実は、姉の力を借りました」

「お姉さんの?」


カップから顔を上げると、テーブルの向こうで恥ずかしそうにはにかむ谷瀬くんと目が合った。


「5つ上の姉がいるんです。

ケーキ屋さんに行くことになったんだけどって言ったら調べてくれて、アフタヌーンティーやってるみたいだから予約しなさい!って、半ば背中蹴飛ばされる勢いで」


その口調から、姉弟仲がいいことが窺い知れる。


谷瀬くん、弟なんだ。確かに、イメージ出来るかも。

わたしは一人っ子だから、ちょっと羨ましいなぁ。

まぁ、有斗とは昔からずっと一緒だから、キョウダイみたいなものだったけど……。