幼なじみの不器用な愛し方

やましいことはないって言っても、有斗は絶対納得なんてしない。


「そうなの。ケーキ食べに行ってくる」

「藤堂と?」

「ううん、他の子ー」

「じゃあ──」

「今日行くところね、チョコが美味しいって人気のお店なんだよ。SNSでもたまに見かけてて、前から気になってたところなの。すごく楽しみ」


矢継ぎ早に言葉を紡ぐ。

ずるいかな……。でも、嘘は言ってないし……。

頭の中で言い訳しながら、思い浮かぶ言葉を並べ立てる。


「美味しかったら有斗の分も買ってこようか? 有斗が好きな、さっぱりめのチーズケーキ」

「いいよ、俺のは」


わたしの勢いに気圧されたように、有斗が苦笑いを浮かべている。

どうせ、食いしん坊だなとか思ったんだろーな……。


座ったまま有斗を見上げていると、有斗が後ろ手に紙袋を持っていることに気付く。

茶色で、筆記体で何やら文字が書いてあるように見えるけど、わたしのところからは読めない。


「珍しいね、有斗が荷物持ってるの。仕事の?」

「え? ……あ、うん。私物、持ってきてって言われたから……」


へぇ、仕事で私物使ったりすることあるんだ?