幼なじみの不器用な愛し方

【この間はお守りをくれてありがとう。無事に試験終わりました。

誘ってくれてた件、谷瀬くんが良ければY駅前にあるカフェのケーキが食べたいです】


週明け以降もあの気味の悪い紙が靴箱に入れられることを思うと、少しでも空いた時間を楽しいことで埋めたかった。


平常心を保ちながらそれだけを送る。

夕飯に出掛けているうちにスマホが震え、翌日の時間と待ち合わせ場所、それから、『楽しみです』とメッセージが届いていた。




「試験お疲れ」


翌日の朝。

部屋で軽くメイクをしているところに、身なりを整えた有斗が入ってきた。


「ありがと。……と言いたいとこだけど、ノックくらいしてっていつも言ってるじゃん」

「あぁ、忘れてた。わりー」


気持ちがこもっていないのが見え見えな返答に、わたしはため息を吐く。

まったく、この幼なじみは。


「服も髪もちゃんとして、今からどこか行くの?」

「ん? あぁ、うん。事務所に呼ばれてる。出る前にお疲れって言っとこうと思って。……そう言うおまえも、出掛けるのか?」


有斗が首を傾げて聞いてきて、わたしは思わずドキッとした。


谷瀬くんと出掛けるって言ったら……有斗は絶対怒るよね。

ただでさえ谷瀬くんに関しては敵意剥き出しなのに、休みの日に学校の外で2人で会うなんて。