他愛ない話を繰り広げるうちに駅に着く。


「じゃあ、また来週。気をつけてね」

「ありがと! 美月ちゃんも。明日の試験も、美月ちゃんらしく頑張ってね」


改札の中で別れ、それぞれ別のホームへと降りる頃には、嫌な気分はだいぶ薄れていた。




気持ちを切り替えることができたおかげか、試験本番はしっかりと自分の力を出し切ることが出来たと思う。

一先ずお疲れさまということで、夜ご飯は親が焼肉に連れ行ってくれることになった。

制服を脱ぎ捨て、楽なワンピースに着替えながら思い出す。

明日、谷瀬くんにもお疲れさま会をしようとお誘いを受けていたんだった……。


数日前、わたしにお守りを持って会いにきてくれた谷瀬くんの姿を思い出す。

あの時渡してくれたお守りは、鞄の内ポケットに付けている。


わざわざ空けてくれると言っていた1日。

学校の外で2人で会う想像がつかないけれど、谷瀬くんの気遣いを無碍にするのは忍びないし、それに……。