有斗が昨夜のことは気にする素振りを見せなかったことがありがたかった。

学校に近づくにつれて、同じ制服を着た生徒達の視線がいつにも増して多いように感じた。

いつもは女の子からばかりだけど、さすがにテレビともなると男の子にとっても気になる存在らしい。


有斗と他愛もない話をしながら学校の門をくぐり、昇降口へと向かう。

いくつか背番号が後ろの有斗と少し距離が空き、自分の下駄箱を開けたところで、


「……あれ」


履き古した上靴の上に、一枚の紙が置かれていることに気がついた。

便箋などに入っているわけではなく、ただ二つ折りにされただけの紙。


なんだろ……?

首を傾げながらそれを手に取り、開くと──


[目障り。有斗くんから離れて]


真っ白な空間に、ただそれだけが書かれていた。