「あ……あは。ごめん。大きい声出しちゃった」


スカートをギュッと握る。

だめだ。これ以上ここにいたら、余計なことを口走ってしまいそう。


「送るのは、ほんとに、大丈夫だから。また明日ね」


半ば逃げるようにして有斗の部屋を出た。

急ぎ足で階段を駆け下り、リビングでドラマを鑑賞していた有斗の両親に声を掛けて家を出る。

そのままうちの玄関に駆け込んで、


「……っはぁ」


ぐっと堪えていた息を、土間にしゃがみ込んで一気に吐き出した。


「……あーあ、変に思っただろうなぁ」


変な態度をとってしまった。動揺していることに動揺していた。

本人に言ったら嫌な顔をするんだろうけど、テレビに映る有斗はとても綺麗だった。

すぐ隣にいたのに、テレビの中の有斗を見た瞬間、何だか遠くに行ってしまったような気がして。


有斗が離れていく。

そう思うと、胸がギュッと締め付けられて苦しかった。




翌日は、いつも通りのわたし達だった。

朝の弱い有斗を部屋まで起こしに行って、自分の支度をして、待ち合わせて家を出た。