抜き出したそれは小学校のアルバムで、表紙には校舎の上から見下ろして撮った全員の集合写真が写されている。


「懐かしいなぁ……」


パラパラとページを捲るたびに、様々な情景が脳裏に甦ってくる。

あ、なっちゃんだ。お、小川くんもいる。みんな元気かなぁ。

思い出に耽っていると、ふとあることに気が付く。……わたしが写ってる写真、ほぼ有斗もいない?


ちらりと隣を見やると、有斗はこちらを気にすることなく何やら本を読んでいる。

ブックカバーがかかっていて、何を読んでいるのかはわからないけれど、わたしの知る有斗は本なんて滅多に読まない。そのことに、少しだけ胸がざわつく。

それでも、わたしの視線を察知して顔を上げた有斗は、手元にあるアルバムの中と変わらない表情で。


「ん?」


少しだけ眉を上げ、首を傾げながら訊ねてくる。


わたしがずっと見てきた有斗。有斗がわたしに見せないようにしていた有斗。わたしの知らない有斗。

色んな有斗の姿を見るたびに、わたしの胸はミキサーで撹拌されたような感覚になる。

でもそれは、幼なじみという唯一無二の立場から来る独占欲のようなものなのか、それとも他の感情なのか、わたしにはよくわからない。