ファストフード店で小腹を満たしつつ勉強をすると言う2人と駅前で別れ、わたし達2人は帰路に着く。

帰りの電車はそれなりに混んでいたけれど、ちょうど空席が一つあった。


「座れば」

「いいよ、一緒に立ってる」

「……いいから」


肩にかけていたわたしの鞄を奪い、有斗は半ば強制的にわたしを空席に座らせた。

前に立ち、吊り革を掴む有斗が眉間にきゅっと皺を寄せてわたしを見下ろす。


「あんま寝てねーんだろ」

「……え?」

「朝からずっと、顔色悪いじゃん」


指摘されて、慌てて両手で顔を覆う。

確かに、昨晩は遅くまで小論文の対策をしていてあんまり寝られていない。

まさか顔に出ていたなんて。

っていうか、気付かれちゃうなんて……。


「ダテに幼なじみやってませんから」

「……参りました」


考えていることまで読まれるんだから、感服ものだ。

わたしは素直に座らせていてもらうことにした。




帰り道、大抵いつも真っ直ぐ家に向かうところ、今日はスーパーに立ち寄った。