「ごめん、姿見えてつい呼んじゃった!」

「ううん、ぜんぜん。メグちゃん、今帰り?」

「うん。この後バイトだから、帰りたくないけど〜」


メグちゃんはおちゃらけた態度でそう言って、ふとわたしの向こうにいる有斗に気付いた。


「神崎くん達も一緒だったんだね。なおさら足止めちゃだめだったね」

「気にしないで。バイト頑張ってね」

「うん。ありがと! じゃあまたね、美月ちゃん。神崎くん」


ぱたぱたと軽快な足音を響かせていくメグちゃんを、手を振って見送る。

そんなわたしの横で、有斗もまた軽く手を上げていた。


な……なんと。

あの有斗が。

ツジや結子……花火大会以降は菊池や同じクラスの真由美ちゃんとも話してるのを見たけど、基本的にはそれ以外の人に関心を持たない有斗が!


「珍しいこともあるもんだなー」

「ねー」

「あ?」


同じように思ったのか、からかう姿勢の2人を有斗が鋭く睨みつけた。

有斗にとって、あの日のメグちゃんや真由美ちゃんとの交流は、不純物がなくて心地よかったんだろうなぁ……。